日本各地、あるいは世界の土地で受け継がれてきた特産の味と色をめぐります。たとえば、盆地の昼夜の寒暖差が生んだ葡萄の濃い甘み。川霧のたちこめる谷間で育った茶葉の奥深い香り。風の強い半島で育つ野菜の力強い葉色。どれもが、その土地の気候と人の手仕事とが結び合って生まれる「かけがえのない風景の味」です。
その土地だけの、味と彩りの便り

その風土だけに、旬の恵みが育つ

その土地だけの、味と彩りの便り。土地には、それぞれに固有の匂いがあります。例えば、雨上がりの畑に立ちのぼる土の香り、潮風に混じる塩の気配、乾いた風が運ぶ実りの粉っぽい匂い。その一つひとつが、やがて色や味となって食卓へ届きます。

土の手ざわりが野菜や果実の姿を形づくり、風の流れが香りを生み出し、太陽の角度が色合いを深める。つまりここにしかない土地の呼吸が、季節の恵みを育てているのです。

その風土だけの、味と色をめぐる

このカテゴリでは、日本各地、あるいは世界の土地で受け継がれてきた特産の味と色をめぐります。たとえば、盆地の昼夜の寒暖差が生んだ葡萄の濃い甘み。

そして川霧のたちこめる谷間で育った茶葉の奥深い香り。また風の強い半島で育つ野菜の力強い葉色。どれもが、その土地の気候と人の手仕事とが結び合って生まれる「かけがえのない風景の味」です。

味わいは単なる物質ではなく、記憶や物語とともに残ります。例えば祖父母が暮らした村の漬物の酸っぱさ。また祭りの日にふるまわれた餅の柔らかさ。或いは市場の朝に漂う干物の匂い。それら土地の食は、時間の流れを編み込みながら人と人とを結んできました。

その土地だけの、味と彩りの便り

「その土地だけの、味と彩りの便り」とは、そうした風土と人の営みを、手紙のように綴る試みです。それは地図に印をつけるように、記憶のなかに刻まれた味と色をたどり、土地ごとの物語を描きます。

読むたびに、その土地に吹く風を感じ、口にしたことのない食の気配さえも、心に広がるかもしれません。そして味は旅の記憶となり、彩りは季節の手ざわりとなる。そうして土地と人を結ぶその結晶を、この場で少しずつ紡いでいきます。

──土が匂いをたて、風が色を運び、季節が味を結ぶ。そこにあるのは、ただ一度きりの、その土地だけの恵み。その声に耳を澄ませ、記憶の地図に描き込む旅へ、ご一緒に出かけましょう。