桃の栽培の知恵や季節ごとの手入れ、収穫のよろこび、さらには食文化や保存食としての歴史を取り上げます。桃がつなぐ人と自然の物語を、幅広い角度からたどります。
白桃の 香りひそかに 夏ふかむ

桃は、夏の陽ざしに透けるひとしずくの甘露。やわらかな果肉に、陽と水と大地の記憶を宿し、ひと口ごとに涼やかな風を呼び込みます。春には薄紅の花が野を染め、桃源郷の幻を咲かせ、やがて実は夕立を浴びて甘さを深めます。

古くから人は、桃に力を見いだしてきました。鬼を退ける伝説や、再生の象徴としての物語。みずみずしい果実は、ただの食べ物ではなく、季節を結ぶ詩そのものです。

旬にかじれば、果汁は頬を濡らし、時を忘れさせるほどのやさしさで満たしてくれる。保存の技で姿を変えれば、瓶や缶に閉じ込められた夏の光となり、冬の日にも心を潤します。

このタグでは、ももが咲かせる花のこと、実るまでの畑のこと、そして食卓に届くよろこびを綴ります。果実を超え、風土と人とをつなぐ「もも」の物語を、どうぞ味わってください。